登場人物紹介

主要人物にはリンクを貼っています。(少しネタバレします)

和泉 桔華(いずみ きっか)1905(明治38)生~
 第39代最上桜花と、中国系朝鮮人柳承俊の娘。桜花が全国放浪中に仙台で柳と知り合い、青森で桔華を出産。しかし桜花が桔華を、そこで知り合った和泉晴子に預けて失踪したため、晴子に育てられた。自分が朝鮮の血を受け継いでいるということを自覚しているが、天真爛漫で怖いもの無し、幼少期より実家にあった雑誌や歌集を読み漁り、自分でも発句。母と知らずに最上桜花を師として敬愛している。

舎人・桂木 拓真(とねり・かつらぎ たくま)1904(明治37)生~
 舎人耕三郎と朝江の長男。孝子の弟。北条古巻と親友。優秀だが気性がやさしく、嘱望されている陸軍士官にはなりたくないと思っていた。1915年3月に実家が炎上、そのとき自分を庇って重傷を負った姉に強い負い目を感じ、意識障害となった。再び目覚めた拓真はそれまでの記憶をすべて無くし、父・耕三郎の師である白河川修の庇護の下、「桂木」の性を与えられ、同時期に白河川に引き取られた吉岡輝也と兄弟となり、陸軍士官への道を歩み始める。

舎人 孝子・雄一郎(とねり こうこ・ゆういちろう)1902(明治35)生~
 耕三郎と朝江の長女。拓真の姉。
 亡くなった母親に「長女として、父を助け、弟を立てなさい」と遺言され、それを愚直に守ろうとする。頑固な面を持っており、弟、拓真が「軍人ではなく 天文学者になりたい」と告白したときに、その願いを却下した。1915年3月、舎人家が原因不明の炎上。その中で北条家の使用人、檜山に命を狙われ、弟を庇って被弾する。一命を取り留めるが、世間には「孝子は死んだ」こととして、以後、男として生きることを決意。陸軍士官への道を歩む。
 吉岡輝也とは士官学校の同期。

北条 古巻(きたじょう こまき)1904(明治38)生~
 北条古月・篠の長男。北条桜花は大祖母。舎人拓真、孝子姉弟と親しい。母・篠の自殺後、古月の知り合いである桔華(桜花)のもとに預けられている。
 1915年、曾祖母、先代北条桜花の葬儀のために帰京。拓真と孝子への想いを再確認するが、舎人家が謎の炎上。2人の生死が不明となり、絶望する。

仙 輝煌・吉岡 輝也(チャン フィファン・よしおか こうや)1902(明治35)生~
 黒澤修吾、吉岡らくの長男。幼少時、らくの暴力により、視力を失った。
 5歳のころから才神アキにより妓楽の英才教育を施され、上海・湖南楼の「看板娘」として日中双方の大物より寵愛を受けた。自分を女だと自覚し、湖南楼の得意客である梁文秀に片思いをしていた。1915年、時の民国政府と帝国政府の裏取引の対価として来日。輝也は白河川修の下、陸軍士官としての教育を受けることになった。
 共に白河川の下で暮らすことになった桂木拓真の義兄。孝子とは陸軍幼年・士官学校の同期。孝子の正体を知る唯一の同期として、いろいろを世話を焼いている。

伊藤 翔・梁 文山(いとう かける・リャン ウェンシャン)1896(明治29)生~
 伊藤侯爵家、喜代治の二男。兄と妹がいる。5歳の時から長春に住んでいたが、10歳の時に梁続山率いる馬賊に襲われ、兄嫁以外の家族を惨殺されてしまった。翔と兄嫁は、馬賊の村に連れ去られ、翔は“文山”と名を与えられ、村の戦闘部隊として日本などと闘うようになった。当家に連れられて上海・湖南楼で吉岡輝也と知り合い、反発しあうも次第に打ち解けあう。1915年、狂乱した翔は村を統治していた当家一家5名を殺害。罪人として村の牢に監禁されている。



舎人 耕三郎(とねり こうさぶろう)1874(明治6)生~
 祖父は禁裏侍従の家柄だが、日和見の一族に見切りをつけ、単身士官学校に入学。任官後は情報将校として大陸中心に活動している。黒澤の上官であり、らくの想い人。妻は朝江、長女は孝子、長男は拓真。北条古月とは古い友人。白河川の思想に同意し、彼の計画のために奔走している。

舎人 朝江(とねり ともえ)1880(明治12年)生~1904(明治37)没
 陸軍元帥山川卿分家の3女。実家からは奇人として勘当されるが、耕三郎と出会い、結婚。孝子、拓真の2子を出産。拓真を出産間もなく死亡する。

北条 古月(きたじょう こづき)1875(明治7)生~
 北条家は元武家だが、維新後に没落。古月は豆腐屋奉公から会社を立ち上げ、一代で海運財閥を興した立役者。大陸を放浪していた時期に舎人耕三郎と出会う。妻は京都の有名呉服問屋の娘、篠。古月が会社の資金繰りに困窮しているときに知り合いが世話をした政略結婚だったが、古月にはいとこの最上桔華という愛人がいると知りながらも、妻・篠は古月に献身的につくした。長女・ゆゑ、長男・古巻。
 日清戦争中に耕三郎と出会い、日本の将来について『理想』を共有していたが、彼がイギリスで久坂廣枝と出会うことにより、お互いの考えにすれ違いが出始める。北条はイギリスの販路拡大時に世話になった久坂側に付くことを決意する。

北条 篠(きたじょう しの)1880(明治12)生~1909(明治42)没
 古月の妻。京都の有名呉服店から傾きかけた北条家に嫁いだ。ゆゑ、古巻の母。1909年に竹藪で首をつった。理由は不明。

北条 ゆゑ(きたじょう ゆゑ)1898(明治32)生~
 古巻の姉。のちに海軍士官藤原一春と結婚する。

檜山(ひやま)生年不詳
 古月の秘書兼使用人。古月曰く、「上海で知り合った」とのこと。篠の自殺に何か関係しているのではないかと舎人耕三郎は思っている。 1915年3月の舎人家の炎上時、燃え盛る室内で姉弟の命を狙った。真意は不明。

白河川  修(しらがわ しゅう)1851(嘉永4)生~
 陸軍元帥。木戸孝允を師と仰ぎ、維新後は陸軍創設に尽力した。妻はイギリス人だが32歳で早世。戊辰戦争のときに左肩を負傷した。現在は退役。
 徹底した軍縮論者であり、日露戦以降の軍部の拡大傾向に危機感を持ち、政府高官を通じて軍縮へ誘導しようとしている。その先兵として舎人耕三郎が活躍している。
 1915年、帝国政府と民国政府の非公式取引に関わり、民国政府より湖南楼の妓女・吉岡輝也を預かることになった。事件に巻き込まれ、記憶を失った舎人拓真を引き取り、二人を兄弟として養育することになった。

山城 眞子(やましろ まこ)1853(嘉永6)生~
 戊辰戦争では幕府軍に従軍。維新後に夫が警察官となり、その伝手で白河川と知り合う。白河川の身の回りの世話、及び秘書的な役割を担っている。

黒澤 修吾(くろさわ しゅうご)1879(明治11)生~
 情報将校として上海を中心に活動。学生時代に白河川修に見出される。らくと結婚し、長男輝也が生まれるが、直後にらくは輝也を連れて失踪する。
 黒澤は1903年に華族の娘と結婚しており、現在の妻との間に2男児がいる。1915年に元妻、らく・息子輝也と再会。輝也は白河川に引き取られる。

仙 楽弥・吉岡 らく(チャン ルーユィエ・よしおか らく)1884(明治16)生~
 上海生まれ。花街で下働きをしていた6歳の時、日本人の吉岡夫妻に養子として迎えられ来日。9歳のときに夫妻は死亡、吉原に身を寄せる。17歳の時に黒澤修吾、舎人耕三郎と出会う。翌年、黒澤と結婚、長男輝也を出産。しかしらくは耕三郎への思慕のあまり精神を病んでしまう。1902年、長男輝也を連れて上海へ渡る。親子は「湖南楼」の女将、才神アキの下に身を寄せた。
 らくは二つの人格をもち、気弱で黒澤を慕う「らく」と、耕三郎を慕うあまり自分を奪った黒澤を心底憎んでいる「楽弥」。息子・輝也はそのほとんどを「楽弥」とともに過ごしており、父・黒澤修吾のことを憎んでいる。楽弥は日中両国の政府の要人とつながりを持ち、双方の情報を得つつ、自らの利を得ようとする。 

北条  廉(38代目桜花)(きたじょう れん)1829(文政12)生~1915年(大正4)没
 藤原分家の橘氏を祖とする、「桜花流」の継承者。「桜花」は江戸時代に一時衰退を見せたが、明治期に入り、廉が再復興させた。北条古月、最上桔華の祖母に当たる。桔華に次代を継承した。1915年没。

最上 桔華(39代目桜花)(もがみ きっか)1878(明治10)生~
 廉の孫娘。廉の息子には三人の娘(八重、玉津、朔子)がいるが、末子の桔華は廉の息子と最上家の使用人だった女との間に生まれた。
 十歳の頃より、祖母廉のもとで短歌を学び始める。先代桜花(廉)より称号を継承する際、放浪の旅に出ているが、仙台で朝鮮人の柳 承俊と結ばれ、青森で女児を出産。桔華は現地で知り合った和泉晴子に子供を託し、再び放浪の旅に出た。
 いとこである北条古月とは許されぬ恋仲だった。承俊とも生き別れ、十年ぶりに帰京した際、古月の妻・篠が自殺。篠の自殺も自らの科と考え、古月との永遠の別れを心に決めたが、彼の息子、古巻を預かることになった。

最上 八重(もがみ やえ)1868(明治元)生~
 廉の孫で、桔華の4姉妹の長女。
 
最上 玉津(もがみ たまつ)1872(明治6)生~
 桔華の4姉妹の二女。現在婿養子をもらい、長男がいる。最上家の中では比較的桔華に理解がある。祖母の影響で短歌を詠む。その腕前は上々。

最上 朔子(もがみ さくこ)1878(明治10)生~
 桔華の4姉妹の3女。つかみどころのない性格で、ふらりと現れて古月を誘惑したりする。
 今でも桔華を思い続けている古月に、「あの女はあんた以外の男との間に一女をもうけている」と告げる。



藤原 一美(ふじわら かずみ)1869(明治2)生~
 帝国海軍将校。軍拡派の一人で、久坂と意気投合し、内外で画策を続けている。長男、一春は北条家長女、ゆゑと結婚。婿養子となる。

藤原 一春(ふじわら かずはる)1896(明治30)生~
 藤原一美の長男。1914年に海軍兵学校を卒業した。ゆゑと結婚し、北条家の婿養子に。孝子が想いを寄せている。
 白河川修と出会ったことにより、父とその周囲に疑問を持ち、ひそかに行動を開始する。

久坂 廣枝(くさか ひろえ)1875(明治7)生~
 帝国陸軍将校。軍拡派の一人。有能で人望が厚い。北条古月の販路拡大をイギリスで助けたこともあり、旧知。舎人耕三郎とは陸士・陸大ともに同期だが、並みならぬ劣等感を抱いている。妻との間に二女。
 美しいものを溺愛し、湖南楼の妓女、輝煌を好んで抱いた。表向きの顔と別に心の底で世の中の混沌を望んでおり、国家をそちらへ傾けようとしている向きがある。

窪塚 幸太郎(くぼづか こうたろう)1885年(明治19)生~
 大蔵省の官僚。久坂の知己を得て、軍人との交流を深めている。
 「上海海運公司」社長、王武伯の娘、時子(時蘭)と結婚するが、1910年に離婚。

窪塚 時子・王 時蘭(くぼづか ときこ・ワン ツーラン)1887(明治21)生~
 「上海海運公司」社長、王 武伯の一人娘。母は日本人。イギリスに留学中に窪塚幸太郎と結婚、1女をもうけるが、後に離婚。 窪塚幸太郎の企みにより窮地に追い込まれた時子は、残存勢力をひきつれて東北へ向かう。

伊藤 昴(いとう すばる)1884(明治17)生~1906(明治39)没
 翔の兄。1906年に家族が馬賊に襲われた際、弟と妻を守り、絶命。

伊藤 霞(いとう かすみ)1886(明治19)生~
 翔の兄・昴の妻。昴の死亡する2週間前に結婚した。翔と共に馬賊の村に連れ去られるが、文秀の計らいにより、単身北京で暮らすことになる。

梁 続山(リャン シウシャン)1870(同治9)生~ 1915(中華民国4)没
 中国・松河村生まれ(中国東北部)。正妻との間に3男、秋月との間に2男女がいる。1900年代に入り、日本人が彼らの土地を侵食するようになり、武装。現在は村の男たちを騎馬戦士に育て上げ、中国政府・日本軍を脅かすほどの存在となっている。人望もあり、付近の村々を束ねる一大勢力の統率者となっていたが、1915年、狂乱した伊藤翔に惨殺される。

梁 生高(リャン シャンカオ)1888(光緒14)生~
 続山の正妻の長男、同母の弟が二人、異母弟が文秀と美花。優秀だが寡黙で冷静、文秀とはお互いに対極の性格だがそれを補い合い、村の参謀の双璧を成している。1915年の翔の反乱で父と母・弟と文秀・チウと、美花以外の家族を惨殺される。生高は深手を負いつつ生き残るが、右腕を翔に切り落とされた。

梁 文秀(リャン ウェンショウ)1890(光緒16)生~1915(中華民国4)没
 続山の二男。第二妻秋月の息子であり、長男がいる以上は続山の跡継ぎにはなれないが、知性、人望、身体能力がずば抜けており、父の軍の元では参謀を務めている。母は秋月。日本語も話せる。美花は妹。
 翔の家族を当家の軍が強襲したときに、翔とその姉、霞を助け、7年ほどを家族のように過ごした。霞は村を追放されたが、文秀が北京に彼女の住む家を用意し、霞との間に男児が生まれた。1915年に文秀も翔に惨殺され、男児は父の顔を知らない。

秋月・才神 アキ(チウユエ・さいがみ あき)1870(明治3)生~1915(中華民国4)没
 山口県生まれ。幼いころに置屋に預けられ、上海へ。16歳の時に「湖南楼」をあずかり、再興させた。そこで続山に出会う。
 らくと輝也を拾い、湖南楼を任せられるまでに仕立て上げた。らくに店を引き継いで、チウは松河村へ移住。当家との間に文秀と美花をもうけた。
 文秀が翔をつれて帰ってきた後は、チウが母親代わりとなり、精神的な支えともなった。狂乱した翔に止めを刺そうとした銃口から翔を庇い、落命。
 
梁 美花(リャン メイホア)1907(光緒32)生~
 続山と秋月の長女。文秀とは母も一緒の兄妹。日本語と中国語を話し、翔にもよく懐いていた。



和泉 晴子(いずみ はるこ)1879(明治14)生~
 青森・名川の出身、川内村在住。旧姓梅内。行き倒れていた最上桔華を拾い、彼女が妊娠していることを知ると、自宅に滞在させ、出産まで面倒をみることとなった。夫・和葉は日露戦争に出征。家は呉服屋を営んでいる。和葉との間に2子もうけたが、いずれも流産。出産した桔華は赤ん坊を晴子に預け、姿を消したため、晴子はその子に「桔華」と名づけ、娘として育てることとなった。

柳 承俊(ユ スンジュン)1880(高宗17)年~ 
 北京で生まれ育った朝鮮人。友・才人の妹の病気を治すために、日本に留学し、医師になるための勉強をしている。
 1904年、下宿先で働いていた最上桔華と出会う。そこで清国の革命運動に参画した友人、才人を日本人に殺され、自らも民族自決のための運動に身を投じることを決意。桔華に引き留められるが、「この志を完遂して、またあなたに会いたい」と言い残し、大陸へ渡る。

周 一樹(チョウ イーシュウ)1880(光緒6)年~1904(明治37)年
 字は才人。清国官僚の父を持つが、戊戌の政変で両親を失う。父通しが友人だった承俊の家に、妹と共に引き取られる。医師になるために、承俊とともに仙台の医学専門学校に留学している。
 命の恩人である俊承の家族が殺されたことを知り、清国の革命運動に賛同。その表明記事を地元紙に発表したことで憲兵に逮捕され、銃殺された。

周 春陽(チョウ チュニャン)1885(光緒11)年~
 才人の妹。幼い頃から身体が弱く、ほとんど外に出られない生活をしている。不治の病に冒され、二十歳まで生きられないだろうと宣告されている。承俊が想いを寄せているらしい。

和泉 和葉(いずみ かずひろ)1874(明治9)生~
 晴子の夫。和泉は旧姓、会津の武家だが明治維新で斗南に転封、没落した和泉家は和葉を脇野沢村の千船という大宅に養子に出した。千船の家で晴子を嫁に迎えたが、二度の流産に両親と折り合いが悪くなり、和葉は晴子とともに川内に移住した。読書家で、家にはたくさんの雑誌や書物がある。1904年、日露戦争に出征。翌年、黒溝台で戦死。
 
菊池 兵衛(きくち ひょうえ)1874(明治9)生~
 和葉の親友。和葉出征後、独り身となった晴子のことを案じている。妻子持ち。

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2011/03/31(木)
from kanayano

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